jognote 楽しく走ってステップアップ講座
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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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9月はスタートライン LSDから始めよう!まだまだ暑い日が続き、トレーニングも憂鬱になりがちです。しかし、この冬にマラソンを走ると決めた初心者にとっては、9月はスタートラインに立つリミットとなります。
また、暑い夏に十分トレーニングできなかったベテランも、身体を作り直す気持ちで、基礎からトレーニングを行ないましょう。
マラソンの基礎を作る最もポピュラーなトレーニングとして、LSD (Long Slow Distanceの頭文字)があります。「長い距離をゆっくり走る」ため、初心者向けのトレーニングと考えられがちですが、ベテランや競技者でも取り組むトレーニング手段です。LSDを、もう一度見直してみましょう。

トレーニング効果は、適応によってもたらされます。運動している状態に身体が馴染んでいくことで、トレーニング効果が得られます。
そのため、急激で強すぎる負荷よりも、緩やかでやや強い程度の負荷のほうが適応しやすくなります。
いきなり全力走をしたら、身体は適応できず、壊れてしまうこともあるでしょう。
これから始める人、しばらくトレーニングを休んでいたような人にとって、「ゆっくり走る」LSDは走ることに身体を馴染ませるにはもってこいのトレーニングなのです。
LSDには次に挙げるような効果が期待できます。
LSDは典型的な有酸素運動です。リズミカルな軽運動のため、筋の緊張はあまり高くならず、血圧の過剰な上昇は起こりません。
そのため、心臓には容量負荷(血液の流れを増やすような負荷)が高まります。このような負荷を長期間課すことによって、心臓は大きく(構造的:スポーツ心臓)、そして強く(機能)なります。
適度な大きさの呼吸を無理なく繰り返すことによって、呼吸機能も高まります。活動筋では、筋毛細血管の発達と筋内酸化酵素の活性化という適応がおきます。
このように、LSDによって、心肺機能と筋の有酸素能力は高まります。
LSDは強度が低いため、脂肪をエネルギーに用いる脂質代謝が高進しやすく、無駄な脂肪を減少させます。
同時に、マラソンやウルトラマラソンで不可欠な、脂質代謝能力も鍛えられるのです。
無理にスピードを高めないため、強く蹴りだすようなダイナミックなフォームは必要ありません。脚を振りだす意識を捨てて、重心(身体)の真下で着地することを心がけましょう。
このフォームで楽に長く走り続けることができれば、コンパクトで無駄のないフォームが身につきます。LSDで身につけたフォームをベースに、少しずつ速いペースにおけるフォームを改善してきましょう。
走るペース、時間に定型はありません。走る人の能力に応じてペースを決めればよいのです。
ゆっくり長く走ることができ、考え事などを頭で整理したり、同行者とお喋りを楽しめたりするペースが基本です。
時間は、現状にあわせたLongでいいのです。例えば、初心者の方なら、はじめは20分でも十分です。少しずつ長くしてゆきましょう。
長時間走り続ける精神的適応も形成されるでしょう。また、ランニング自体を楽しめるという効用も見逃せません。
ランニングは身体と心との対話です。颯爽と走りながら自分の身体と対話する。あるいは、心の内面と向き合ってみる。瞑想ランもLSDならではでしょう。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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