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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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カムサハムニダ! 東洋の楽園 済州マラソンレポート去る6月1日、韓国・済州(チェジュ)島で開催された第13回済州マラソン(2008年)を走ってきました。
地元の観光協会が主催する大会で、多くの日本人ランナーを召致するための意見が欲しいとのことで、ランニング学会の一員として参加しました。
レース種目は、フル、ハーフ、10km、そして10kmウォークの4種目で、フルに300名弱、全種目で約3,000名参加の小規模な大会です。
済州は第一次産業(農業と漁業)と第三次産業(観光)が主流の島です。第二次産業が少なく、大きな工場がないため、川も海も空気もきれいな自然を残しています。暑さもさわやかに感じました。
スタートとゴールが同一の完全往復コースは、競技場から海岸道路にでるまでの僅か200m程を除くと、すべてが島の北海岸沿いを走る美しいシーサイドコースでした。

さて、肝心のレースですが、スタート時間が迫っても、競技場内では参加者全員でアップテンポのウォームアップが繰り広げられています。終了したのはなんとスタート2分前。しかし、あわてた様子もなく、5分ほど遅れてのスタートでした。
エイドステーションは、往路と復路に共通のため、ランナーが交錯し、かなり危険と思われましたが、多くの韓国人ランナーは立ち止まって給水するため、事故等は見られませんでした。しかし、参加者の多いハーフと10kmのレースでは、トップランナーが給水を諦めるような状況もみられたようです。
海岸コースゆえ、干したにんにく、イカ、海藻類が目を和ませてくれる半面、関係者以外の応援は少なく、コース沿いに点在する民家の庭先で家事をする住民、仕事中の海女さん達が貴重な観客でした。
僕は37km地点で膝を痛めてしまい、ゴールまでの5kmを歩く羽目になりました。レースで歩いたのは初めての経験ですが、今回に限っては、応援の少ないレースが幸いしました。歩いてゴールした僕を待っていたのはサザエのお粥で、これにキムチを入れると絶品でした。
視察と言う観点で大会全般を見ると、前日の前夜祭から当日のレースを含めて、改善すべき点も見えてしまいます。現時点で比較するものではありませんが、日本で開催される市民マラソンの運営にはほど遠い大会でした。
今後海外からの選手を含め、1万人規模の大きなレースを目指すのであれば、今の体制では限界があり、警察、行政、そして何より島民の理解と協力が不可欠でしょう。
日本人に人気のホノルルマラソンは、なぜ支持されるのでしょうか?ハワイの風土とその圧倒的なホスピタリィティに由来するのではないでしょうか。島民あげてこのマラソンを支え、歩いてしまうような初心者を含む多くのランナーに安心と勇気を与えてくれるのが、アロハスピリッツです。
知名度はまだそれほど高くないためか、今回日本からの参加は全種目で200名程度でした。仮装を楽しむランナーもいません。
しかし、日本でフルのレースがほとんど開かれない6月の開催である点、日本から2時間程度でいける地の利、たとえ歩いたとしても心配のない温暖な気候、同行者が気軽に参加できるウォークの併設、日本人の味覚にあう韓国料理などなど、日本で人気の出そうな要素を多く備えたマラソン大会だと思います。
済州島の風土を生かしたホスピタリティあふれる市民マラソン大会になれば良いなと思い、帰国の途につきました。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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