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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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ランナーは風邪をひきやすい? ~運動と免疫力の関係初冬から晩春にかけて、毎年僕は、37度ほどの微熱と咳を伴った風邪に何度となく悩まされます。
マラソンを始めてからというもの、僕の平熱はかなり低くなり、だいたい35度前後です。そのため37度の熱でもかなりしんどいのですが、この熱では誰も心配してくれません。
仕方ないので、そういった微熱があるときは、さっさと寝るようにしています。大概1~2日で熱は下がるのですが、気管支が過敏になっているせいか、咽の風邪は長引き、毎回苦しめられます。
健康のための運動の効用は明らかで、生活習慣病の予防・改善、減量、体力の増進などがよく知られています。また、運動を始めてから風邪をひきにくくなった、というような自覚的効果の事例もよく聞きます。
一方、健康そのものであるはずの我々ランナーが、大切なレースを風邪のため棄権せざるをえなかったり、レース後にインフルエンザにかかったり、という例もまた多く聞きます。

風邪の原因となるウイルスや細菌の感染から身体を守る生体防御機能は、皮膚や粘膜の物理的な防御と免疫系が担当しています。
免疫系は神経系や内分泌系と協調し、外部からのストレッサー(この場合、ウイルスや細菌)に対して身体の内部環境の恒常性を保つ機能であり、防衛体力の重要な要素です。
防衛体力とは、行動体力とならんで体力を構成する2大要因の一つであり、健康や生命を脅かすようなストレッサーなどに対して抵抗する能力のことです。
以前、僕の授業(自由科目「つくばマラソン」)の学生を対象にして、マラソン前後で風邪に対する抵抗力を測定したことがあります。
その結果、フルマラソンの直後に、抵抗力は著しく低下し、その後1週間ほどかけて徐々に回復し元のレベルに戻るという結果となりました。
考えてみれば当然のことかもしれませんが、マラソンなどの強い負荷を身体にかけると抵抗力は低下し、風邪やインフルエンザにかかる危険性が高まります。
このように、免疫機能は運動によって影響を受け変化します。

図は運動と免疫力の関係を模式化したものです(Niemanの図を改変)。
運動不足の人に対して、適度な運動は抵抗力が増すけれども、運動が過度になると逆に抵抗力は低下し、運動しない状態よりもむしろ悪化するという関係を示しています。
健康が目的の適度なジョギングならば、免疫力は向上し、風邪をひきにくい体質になるでしょう。ところが、それが高じて(多くの場合そうなるのですが・・・)、レースを目標にしたり、フルマラソンに挑戦するようになると、もはやそれは適度とは言えず、過度な運動量であることに間違いありません。
走れば体脂肪も少なくなり、物理的な寒さへの防衛力も低下します。したがって、われわれランナーは、トレーニングによって、ある意味「身体を削っている」ということを自覚すべきです。
風邪のリスクを高めてトレーニングに励んでいることを認識し、日々の対策と予防を講じ、ビタミンCの補給や食事、休養に気を配りましょう。特にレース後などは、抵抗力が低下していることに留意し、トレーニングは体調を崩さない程度に軽く行なうことが重要です。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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