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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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トレーニングと遺伝子発現さる3月23~25日、京都府立医科大学にて第19回ランニング学会大会が開催されました。
「学会」とは言うものの、この学会には、研究者だけでなく、市民ランナー、大学・実業団チームの指導者など、多岐にわたる分野の方が参加しています。
それぞれ、ランニングについて「する」立場、「みる」立場、「支える」立場から、研究や指導などの啓蒙活動を行なっている、まさしくスポーツ本来の役割を担った学会です。
今回、特に興味深かった講演を、学会大会備忘録として紹介したいと思います。僕自身は「ランナーの減量」というテーマで話をさせて頂いたのですが、それについてはまた後日。
田中宏暁先生(福岡大)の教育講演「持久的運動に伴う遺伝子発現」では、トレーニングによる持久力向上のメカニズムについて、最新の研究状況を紹介していただきました。
非常にエキサイティングな内容で、なかには市民ランナーがすぐにでも応用できそうなアイデアもありました。
その一つは、グリコーゲンの枯渇するような超持久的トレーニングが、持久力向上に関わる遺伝子発現に寄与するという最新の知見です。
日本古来のマラソントレーニング法に、オーバーディスタンス(超持久走:50km走など)があります。このようなトレーニングが有効であることの科学的に証明されました。
しかし、話がそれで終わっては面白くありません。僕はこれまでマラソントレーニングにおいて、後半の低血糖状態を模擬して、早朝空腹時に20~30km走を行なってきました。遺伝子発現の観点で考えれば、僕のこのトレーニングは有効であることになります。
超持久走は、怪我のリスクや費やす時間を含め、万人に推奨できるトレーニングではありません。グリコーゲンの枯渇が持久力改善に寄与するのであれば、超持久走でなくてもその状況を作り出す工夫をすればいいはずです。
懇親会で先生にその話をぶつけると、「その通りだよ」とにやりと笑っていました。
「中長距離種目のパフォーマンス向上にランニング科学を用いる」というテーマで、トレーニングの強度設定の指標について、豊岡示朗先生(大阪体育大)から講演がありました。
ここでは、LT強度を上げるためにはOBLAトレーニングが重要であること、OBLAを高めるためには最大スピードのトレーニングが重要であることが、科学的データと指導例を交え紹介されました。
本コラムランニングの運動強度 その3(トレーニング編)で紹介した、上位の強度から下位の強度を高めるという概念をサポートしてくれる考え方で、非常にわかりやすいものでした。
この点を先生にお聞きしたところ、「日本のランナーは、トップも市民ランナーもスピード練習が少ないんだよ」と嘆いていました。

「市民ランナー、市民マラソンのこれから」というワークショップも興味深いものでした。
「マラソンのつぼ」の坪健治先生が10年以上にわたる初心者の講習会を続けている手作りのクラブの実践報告を、「あいの土山マラソン」事務局の古谷淳子先生が行政側からのマラソン大会運営の苦労とアイデアを、社会学者の原田達先生(桃山学院大)が市民マラソンを「祝祭」という観点でその意義や本質について、それぞれご講演されました。
東京マラソンに対しての論議もあり、行政主導ではあるものの実施に至ったこと自体の価値を認め、この大都市マラソンを育てていくのはわれわれランナーであることを再認識することができました。市民ランナーとして、そしてランナー指導の現場を担うものとして、大いなる勇気と、そしていくばくかのプレッシャーを頂きました。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
第12回Q&A「つめのトラブル」について、専門の先生より下記情報を頂きました。
爪下血腫や巻爪の処置は形成外科が専門です。もちろん、整形外科でも爪を診 る先生はいらっしゃいますが、爪は骨関節でなく、毛髪と同様 、皮膚の 一部で皮膚の治療・処置は整形外科は「専門外」です。
関係の方にはご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。また、ご指摘ありがとうございました。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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