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著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

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最新著書

1時間走れればフルマラソンは完走できる

第1章 マラソンなんでもQ&A

第2章 毎日走らなくてもいい!マラソン練習これならできる継続のコツ

第3章 歩かないでフルマラソン完走!6ヵ月プラン

第4章 自然なランニングフォーム マラソンはピッチ走法がいい

第5章 不安解消!3日前からゴールまでのフルマラソン完走アドバイス

第6章 身も心もリフレッシュ!からだをストレッチング&ケア

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まだ間に合う? マラソンを始める最適年齢まだ間に合う? マラソンを始める最適年齢

僕のマラソンのベスト記録は、34歳の時のものです。それ以降、残念ながら記録は徐々に低下し続けています。

一般的に、マラソンを始めて数年間は記録が伸びるでしょうが、あるレベルに達すると停滞し、その後は同じようにトレーニングしても、あるいは以前よりもトレーニングしたとしても、低下していくことは避けられません

これは加齢による体力(ここでは持久力)の発達特性上、受け入れざるを得ないことです。(一般的には「老化」と言いますが、専門的には、低下することを含めて「発達」といいます)

体力低下とパフォーマンス

ジョギング

特別な運動を行なわないと、18歳前後をピークに体力は徐々に低下します。トレーニングをすることによって、20代後半まで高い体力を維持することは可能ですが、どれだけトレーニングをしても、その後体力は低下していきます。

プロ野球界などには、30代後半になっても活躍する選手が多くいます。野球などは体力的な資質だけでなく、技術的要因や経験から蓄積された戦術的・心理的要因などが、パフォーマンスに影響するからです。

同様にマラソンも技術的要因、精神的要因がパフォーマンスに関与し、ペース感覚など経験から裏打ちされた戦術・心理要因が重要となります。その結果、体力に勝る若者を打ち負かす中高齢者が多いのも、マラソンの特徴ではあります。

しかしながら、個人の変化を見る限り、僕の例でも明らかなように加齢により体力は低下し、それに伴って記録も徐々に低下していくのが現実です。

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グライダー効果

図は、トレーニングを始めた年齢とその後の体力の変遷を模式化したものです。

この研究は、僕の大学の1年先輩(Aoyagi,T)の修士論文の成果です。

走友会に所属する平均年齢63歳のベテランランナーを3群に分けて、持久力を表す指標である最大酸素摂取量(1分間に利用できる酸素の最大量)を測定しました。

グループは、①若い頃(平均25歳)に走り始め、その後ずっと走り続けている群(T25)、②中年(平均45歳)の時に走り始めた群(T45)、③高齢(平均56歳)になって始めた群(T56)の3つです。その結果、T25が最も持久力は高く、T56が最も低いという結果になりました。

この結果から彼らは、できるだけ若い時に運動を始めることが、絶対的に高い体力の獲得につながり、それが、その後も相対的に高い体力を維持する秘訣であると結論しました。

飛び出すときの高度が高ければ高いほど、滑空距離が伸びるグライダーの飛行原理に似ているため、トレーニングの開始年齢と体力変遷のこの関係を、グライダー効果などとも言います。

Never too late !

この結果は、なるべく若い時にランニングを始めて、高いパフォーマンスに到達した人ほど、その後も相対的に高いパフォーマンス(年代別で速いランナー)を維持できることを示しています。

しかし、40代、50代になってマラソンを始めた人も沢山おり、その方達を前に「なるべく若い時に始めましょう」と言っては身もふたもないですね。

この図は、もう一つ別のことも如実に表しています。それは、トレーニングは何歳になっても必ず効果がある、ということです。僕のランニング仲間には、30代後半からマラソンをはじめて、50代半ばの今でも記録を更新し続けている「信じられない」スーパーランナーもいます。

何事もそうですが、始めようと思い立った時が、よいタイミングなのです。マラソンもそうです。「Never to late(遅すぎるということは決してない)」なのです。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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