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著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学体育系(体育センター)教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

走るなら食べよう!~体は必ず変わります~

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ウェーブスタート つくばマラソンでの導入効果

ジョギング

ウェーブスタートを導入した、2015年のつくばマラソン大会が無事終了しました。大きなトラブルや混乱もなく、大会の運営委員としてはホッとしています。前回のコラムでメリットとして挙げたトイレ渋滞の緩和、スタートロスタイムの短縮、コース幅に対する走行するランナーの量など、全てにおいて今までと比べ遥かに改善されたと思います。僕自身が久しぶりに完走したので、ランナーからの視点と合わせて明らかとなったウェーブスタートの課題や効果について紹介します。

スタート前後の渋滞緩和

表は昨年と今年のつくばマラソンのタイム別ランナーのネットタイムとグロスタイムを表しています(つくばマラソン大会実行委、アールビーズ提供)。人数が増えているにもかかわらず、タイム差が小さく、ロスタイムが減少していることが一目瞭然です。

※区分はネットタイム基準
2014年大会グロスネット人数
サブスリー2:53:182:52:5622秒463人
3時間台3:38:033:36:012分2秒4279人
4時間台4:34:194:29:125分7秒4097人
5時間以降5:32:495:25:447分5秒1646人
全体4:16:044:12:073分57秒10485人
2015年大会グロスネット人数
サブスリー2:53:042:52:4123秒564人
3時間台3:38:033:36:411分22秒5147人
4時間台4:31:204:28:472分33秒4712人
5時間以降5:30:345:26:583分36秒1865人
全体4:13:304:11:232分7秒12288人

ネットとグロスタイムの差の短縮は、ある意味当たり前の効果ですが、それ以上に効果的と感じたのは、スタート後の混雑の緩和です。昨年までは、目標ペースで走れるようになるまでスタートからかなりの時間を要しましたが、かなり短くなったとの声を多数頂きました。

最前列からスタートする快感

今回、タイム別に8つのブロック(A~H)に分け、一つのウェーブに2~3ブロックが前から順に並びました(例えば第2ウェーブなら、前からC、D、E)。第2、第3グループを含め、先頭からスタートできた人数は単純にこれまでの3倍に増えたことになります。整備されたコースで、前に人がいない(見えない)状況でスタートする爽快感はとても気持ち良いもので、多くのランナーにその機会が開かれたのは意味深いことです。ウェーブを細かく分けることができれば、もっと多くのランナーが最前列からスタートすることができるので、申告タイムの虚偽申請も少なくなるのではないでしょうか。

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運営側のメリット

走行するランナーの量はペースに応じてほぼ正規分布します。例年のつくばの場合、4時間ペースを中心に、3時間30分~4時間30分ペースで走るランナーがかなりの数に上ります。この周辺のランナーは、人数に比してコース幅が狭いため、レース中に走路変更などの身動きができない状況で安全面のリスクも危惧されていました。まだ十分とは言えませんが、選手が分散されたためかなり緩和されたと感じています。

一度に大量のランナーが通過するため給水補充が間に合わない、といった課題もありましたが、今回、そのような状況は少なかったようです。これも、ウェーブスタートのメリットと言えるでしょう。

今後の課題

一方、タイム申告の課題は今後も残ります。ウェーブスタートの利点は同レベルのランナーが同時にスタートすることにあります。ウェーブスタートでは自分の実力とはかけ離れたグループでスタートすることは、周りのランナーへの悪影響だけでなく、本人にとってもデメリットにしかなりません。

しかしながら、エントリー時(7月)とレース時(11月)では身体のコンディションや走力が大きく異なる場合があります。初心者の場合、エントリー時点には自分の走力を掴めていない方も多く、ケガなどによって申請タイムで走れない方もいます。そういった状況はどなたにも等しく起こり得えます。

同様の課題は、ゲストランナーにも当てはまります。これまでの慣例では招待選手とゲストランナーは最前列からスタートしてきました。しかし、ゆっくり走るゲストもいます。ウェーブ毎に正式なスタートになるわけですので、招待したゲストの意向に沿ってスタートウェーブを選ぶことも必要だと感じました。

課題があるものの、一歩一歩経験値を上げてこのスタート方式が全国的に広がればよいと願っています。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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