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今年こそジョギングをはじめよう!ジョグノートなら記録管理もカンタン

著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学体育系(体育センター)教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

走るなら食べよう!~体は必ず変わります~

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仲間を救う準備はできていますか?

今年11月末に開催されるつくばマラソン大会は、コースの変更と共に新たにウェーブスタート(時差スタート)を導入します。ウェーブスタートは、海外のレースではポピュラーなスタート方式ですが、日本の大きな大会ではあまり用いられていません(フルマラソンでは初?)。今回はローカルな大会の事例について紹介しますが、日本の道路の幅員や参加人数から考えて、全国的に広まってもよいのではないかと思っています。

ウェーブスタートのメリット

ジョギング

ウェーブスタートとは、僅かな時間間隔でまさに波のようにスタートする様子が命名の由来です。例えば、アメリカの有名な10kmレース・ボルダーボルダー(Bolder Boulder)などは、一組に数100名のランナーが1~2分程度の間隔で次々にスタートします。

従来の一斉スタートによる問題点として、スタート前のトイレの集中、スタート直後の渋滞によるタイムロス、速度の異なるランナーの混在による転倒リスクなどが指摘されてきました。しかし、ウェーブスタートを用いれば、走力が同程度のランナーを小人数にまとめてスタートさせることができ、そのいずれも緩和させることができます。

今回のつくばマラソン大会では、初の試みということもあり、10分間隔で3組のスタートとなりました。同時にスタートする一組のランナーが5000名程度になってしまい、これではとても小人数とは言えないスタートです。小人数スタートが実現できなかった理由の一つは、ゴールタイムに対する考え方にありました。

ネットタイムとグロスタイム

世界的には、エリートを除くとネットタイムを正式タイムとして採用するレースが増えています。しかし、日本では、正式なゴールタイムとしてグロスタイムが採用されることが多く、ICチップなどで計測されるネットタイムは参考タイムという扱いで、個人が自分のタイムを確認する程度にしか用いられていません。

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ウェーブスタートの留意点

今回のつくばマラソンもグロスタイムが正式タイムであり、指定された各組のスタート時間を起点にゴールタイムが計時されます。したがって、誤って別の組でスタートしてしまった場合、正確にタイムが計測されなくなってしまいます。指定より遅い組からスタートした場合は、遅れた時間が加算されるだけなので、本人は納得できないでしょうが計時上のトラブルはありません。しかし、指定よりも前にスタートしてしまうと、スタート時間がマイナスになってしまい、タイムが計測されない恐れがあります。

そのため実行委員会で検討を重ね、「間違いのないように」スタートするために注意喚起ができるよう時間を十分に設けることになったのです。交通規制の関係で沢山の組を作ることができず、結果として一組の人数も多くなってしまい、ウェーブスタートの利点はやや薄まってしまいました。しかし、1万人以上が一斉スタートであったこれまでよりは、スムースなスタートになることは間違いありません。

ネットタイムの採用

ウェーブスタートがより有効に実施されるためには、ネットタイムの活用が不可欠です。この点については、日本のランニング界の今後の課題となるでしょう。エリートランナーを含め、全てのランナーの安全と快適なスタートのためにも、世界の多くの大会で用いられているようにグロスタイム(上位入賞者や大会記録などに適用)とネットタイム(一般ランナーの公式記録)の併用ができないでしょうか。参加標準記録を設けている大会の参加資格としてもネットタイムを認めるのです。今回のつくばマラソン大会は、改革の第一歩です。今後、我々運営スタッフの経験だけでなく、参加するランナーの認識も広がり、その効果を実感してもらうことが、ネットタイムの正式採用を含めたより効果的なウェーブスタート普及への鍵となりそうです。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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