楽しく走ってステップアップ

今年こそジョギングをはじめよう!ジョグノートなら記録管理もカンタン

著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学体育系(体育センター)教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

走るなら食べよう!~体は必ず変わります~

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仲間を救う準備はできていますか?

参考になる方もいるかと思い、自戒を込めて今回のコラムを書きました。僕は、昨年4月から今年の夏にかけて肉離れを4回も繰り返しました。何とも学習能力がないのですが、そこに至るここ数年の身体の状況から振り返ってみます。2012年1月にアキレス腱の骨化というケガを発症し、走るどころか一時的に歩くことすらできなくなりました。それからの2年間は治療・リハビリが中心のトレーニング生活を送っていました。

レース後のケガ

ジョギング

アキレス腱の痛みに悩まされることがほぼなくなった昨年、大きな目標として「3年ぶりのマラソン完走」を掲げました。それに向けて春先に2つのレースに参加し、最初のハーフでは、予想以上のタイムで走ることができました。一方、その1カ月後の10マイルは、ハーフの走りから考えると物足りない結果だったため、本来ならレース後は慎重にあるべきところを、身体の状態に耳を傾けずトレーニングを続けてしまいました。

全身の倦怠感があるマラソンとは異なり、短い距離のレースの後は、多少の筋肉痛はあっても意外と走れるものです。若いころは多少の筋肉痛があっても問題なかったのですが、加齢と共にその回復に時間がかかるようになります。そのことを軽視し、回復途中で無理な負荷をかけてしまい、致命傷になったのです。その後は、治ってトレーニング再開、しばらくして肉離れというパターンを4回も繰り返す羽目となりました。

加齢に伴う能力低下

ところで、長いこと走り続けているベテランにとって、どんな能力が一番低下すると思いますか?加齢によって多くの機能が衰えるのですが、比較的維持する能力と衰えやすい能力があります。

技術的な面に関しては、ランニングフォームは年月を経て無駄のないフォームに洗練されますし、レース戦略に関わるペース感覚などもベテランになるほど高まる数少ない能力の一つです。一方、心機能はいかがでしょう?最高心拍数は加齢に伴って緩やかに低下し、その結果、全身に血液を送る能力も低下していくことが知られています。

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筋量と筋力の低下

さらに、もっと低下する器官があります。筋肉です。加齢に伴って特に50歳代以降、全身、特に下腿の筋量が減少します。これはサルコペニアと呼ばれており、高齢者の場合、最大酸素摂取量に最も影響するのは筋肉量であることも分かっています。サルコペニアを防ぐには運動が重要で、普段運動していない一般の方へのアドバイスとしては、歩行や水泳、軽いジョギングなどが推奨されます。しかし、もともと運動していた人に限れば、さらに運動量(ランナーなら走行距離)を増やすことはあまり現実的とは言えません。同時に中高齢者の腱や関節は強いトレーニングを過負荷すればよりダメージが増し、僕のように怪我や炎症を起こすことでしょう。

メンテナンスの重要性

これらを勘案すると、ランナーが走力を維持するために走行距離を増やすことは、リスクと隣り合わせとなり、あまりお勧めできません。以前と同じトレーニングをしても回復が遅くなるなどの身体の変調を感じるようになったら、既にターニングポイントです。今まで以上に、より一層身体の手入れ(メンテナンス)が重要になるでしょう。

メンテナンスには、マッサージやストレッチなどの運動前後のケアはもちろん、走るだけでは維持できない筋力トレーニングも含まれます。自動車で例えるなら、新車の頃はメンテナンスに気を配らなくても問題なく走れていても、年月と共に故障が増えてくるのと同じことです。ベテランになるほど、走ること以上にメンテナンスが重要であることを改めて認識すべきでしょう。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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