楽しく走ってステップアップ

今年こそジョギングをはじめよう!ジョグノートなら記録管理もカンタン

著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学体育系(体育センター)教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

走るなら食べよう!~体は必ず変わります~

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仲間を救う準備はできていますか?

レースに参加している最中に、倒れている人や今にも倒れそうな人を見かけたことはありませんか?6~9月の時期に行なわれるレースでは、暑熱環境という理由もあって、救急車の出動が多いように感じています。

AEDの備えと周知

ジョギング

一方、秋から冬にかけての環境の良い季節でも、レース序盤のオーバーペースや根本的なトレーニング不足、その他様々な要因で危ないなぁと感じるランナーを時々見受けます。数年前、東京マラソンのレース中にタレントが倒れ、AEDによって一命を取り留めたというニュースを記憶している方もいることでしょう。それをきっかけに大会におけるAEDの準備状況に注目が集まるようになりました。大きな大会では、レース中に自転車でコースを巡視するモバイルAED隊を編成している大会もあります。

心肺停止の発生リスク

大東文化大学の太田眞先生は、2005~2013年の市民ランニングレースの医療・救護の担当例から心肺停止(CPA)の発生リスク(1000人当たり)を表の通り報告しています。一見、リスクは低いように思えますが、主催する立場からみると、この数値の意味は違って見えてきます。すなわち、1例起こる人数に換算すると、ハーフやフルのレースでは、5~6万人に1例の頻度で起こることになり、3万人規模の大都市マラソンの場合、1~2年に1度は発生する可能性があることを意味しているのです。また、この報告では危険性が低いようにみえますが、駅伝やリレーマラソンなどは、短い距離を速く走るため、心臓への負担が大きいことを認識する必要があります。

イベント 発生リスク(1,000人) 1例起こる人数(人)
フルマラソン 0.018 55,556
ハーフマラソン 0.02 50,000
市民駅伝など 0.008 125,000

心肺停止の発生する地点は、スタート直後とレース後半からゴール直後に多く、近年のAEDの導入によって、劇的に救命率は改善されているとのことです。したがって、不測の事態をどれだけ想定して、どのような対策(備え)をするのかは、大会主催者が最優先で考えるべき課題の一つになります。

後半を読む

救急救命

先日、僕のランニングクラブにおいて専門家による心肺蘇生法の講習を行ないました。人形や訓練用AEDを使いながら、遭遇・発見から始まる一連の流れを実習で学びました。呼吸がある場合の回復体位、呼吸停止の際の心臓マッサージ、そして人工呼吸。普段使わない技術なので、講習の度に毎回学び直している、というのが正直なところで、実際に遭遇した際に自分一人で迅速に、かつ的確に行動できるのか不安はぬぐえません。しかし、定期的に講習を受け、その経験を積み上げていくことが大事なのだと思います。

ランナーの備え

一緒に走る仲間だけではなく、レースや街で見かけるランナー、さらに日常の様々な場面で不測の事態は誰にでも起こり得えます。その時、迅速に動けるランナーが一人でも増えることが、回りまわって何かあった場合に自分自身を守ってくれることにもつながります。

主催者にリスク対策が必要であると同時に、われわれランナーには、日頃の体調管理と適切なトレーニングはもちろんのこと、仲間を助け得るスキルアップや情報収集が求められる心がけの一つかもしれません。

皆さんの普段のランニングコースには、もしもの時に利用できそうなAEDはありますか?大きな公園やスポーツ施設など公共施設はもちろんのこと、注意してみると意外な場所に設置されているかもしれません。自分の街のAEDマップを作ってみるのも良いでしょう。フットワークの軽い我々ランナーが、各地のAEDの設置場所を報告し合い、それが蓄積されて多くの人々と共有できるようになったとしたら、有意義なのではないでしょうか。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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