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今年こそジョギングをはじめよう!ジョグノートなら記録管理もカンタン

著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学体育系(体育センター)教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

走るなら食べよう!~体は必ず変わります~

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脂質代謝能をどう鍛えるか? 脂質代謝能をどう鍛えるか?

フルマラソンやウルトラマラソンにおけるエネルギー源として、脂肪は欠かせません。なぜならば、体内に蓄えている糖(グリコーゲンや血糖など)だけでは、完走するためのエネルギーが絶対的に不足するからです。

この概要については、過去のコラムでも折に触れて取り上げてきました。今回は、脂肪からエネルギーを生成する意義について焦点を絞り紹介します。なお、この話については、先のランニング学会大会のシンポジウムで報告した内容を分かりやすくまとめたものです。

脂質代謝

ジョギング

脂肪からエネルギーを生成する過程を「脂質代謝」と呼びます。ここで「脂質」とは、脂肪とその類似物質(中性脂肪、遊離脂肪酸、コレステロールなど)の総称を指します。さらに、中性脂肪などが直接エネルギーになるわけではなく、脂肪酸(遊離脂肪酸)という形に分解され、はじめてエネルギー源として利用されるのです。

脂肪から脂肪酸への分解は、糖の貯蔵量の減少によってインスリンが低下して起こります。脂肪酸は、筋収縮の直接的なエネルギー源となるATPの再合成に利用され、これを脂質酸化と呼び、脂質酸化量が増えれば、脂肪がより多くエネルギーとして利用されたことを示す指標となります。

脂質代謝への栄養状況の影響

脂質代謝に影響する要因は、栄養状況運動に分けることができます。

飢餓状態や、摂取カロリーが消費カロリーよりも少ないようなエネルギーバランスの崩れた状況で、糖の貯蔵量が少なくなると脂質代謝が亢進します。一方、食事の内容は脂質代謝と直接的な関係は少ないと言われています。すなわち、脂肪をたくさん摂ったとしても、それが直ちに利用されることはないようです。

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低強度、長時間運動の影響

脂質代謝に影響する運動の要因は複雑ですが、一般に強度が低く、そして時間が長い運動ほど脂質代謝は亢進することが知られています。ゆっくり長時間走るLSDなどは脂質代謝が非常に活発になり、ランナー全般によく用いられているトレーニング手段です。

高強度運動では?

反対に強度が高い、短時間の運動では脂質代謝はどうなるでしょうか?このような運動中の主なエネルギー源は糖(グリコーゲンや血糖)となり、脂質酸化は抑制されます。一方、高強度運動中にはアドレナリンが高まるため、脂肪から脂肪酸への分解は促進されています。実は、運動中に使われなかったこの多量の脂肪酸が、運動後に利用されることが分かっています。

エネルギーバランス

このように比べてみると、運動中に関して言えば、長時間、低強度運動の方が脂質酸化量が大きくなりますが、高強度運動では、運動後の脂質代謝が亢進するため、運動後のエネルギー代謝量まで評価すると、どちらの運動の方がより脂質酸化量が大きいのか必ずしも簡単には結論できないのです。

ジョギング

現在のところ、脂質代謝の総量に関して言えば、運動強度の差はあまり関係なく、栄養状況(摂取カロリー)と運動による消費カロリーのバランスを崩すことが肝心であると考えられています(図)。

次回以降、その観点からみた朝練習の効果や、意外な(?)脂質代謝亢進のトレーニングを紹介いたします。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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