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著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

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1時間走れればフルマラソンは完走できる

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できる人はなぜ走るのか ~ジョギングで差をつけようできる人はなぜ走るのか ~ジョギングで差をつけよう

前々回のコラムでランニングと脳・心の話題を、前回は高橋尚子ロードでの瞑想ジョギングの体験を記しました。

瞑想ジョグ(第29回参照)のメカニズムは不明ですが、実際にジョギング中に豊富なアイデアが生まれたり、記憶が蘇ったり、多くのランナーがそういった経験を持っているのではないでしょうか。

今回は、最近読んだ「脳を鍛えるには運動しかない!(ジョンJ.レイティ著、野中香方子訳、NHK出版)」を参考に、引き続きランニングと脳の活性について考えてみたいと思います。

瞑想ジョギングのメカニズム

ジョギング

第126回コラムで記したように、運動は脳機能の維持増進に効果的です。そのメカニズムの一つとして考えられているのが、運動による脳、なかでも大脳辺縁系の一部である海馬の神経を成長させる因子の活性化や、脳血流の促進です。

ご承知のように海馬は、記憶や空間認知を司る器官です。したがって、運動中のこれらの作用は、記憶の引き出しを開けてくれるような瞑想ジョギングのメカニズムに対する回答の一つになるのかもしれません。

ただし、最大心拍数の70%以上の強度の運動中(僕の最大心拍数は195拍/分程度。その場合、136拍/分以上)には、脳の前頭前野の血流量が低下し、司令塔の機能を果たせなくなり、認知機能などは低下するという結果も得られています。

つまり、運動と脳機能の関係を研究している多くの研究者の意見を集約すると、①運動中の認知機能の向上には軽運動が最適で、強い運動はやや効果が低下すること、そして②強い運動の場合には、運動後に認知機能が活性化される、ということです。

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レースにおける情報処理

実際、5kmレースなど強度の高いランニングでは、レース自体に集中していることもあり、いろいろなことを考える余裕はない状況かもしれません。

しかしながら、瞑想ジョギングをしている時などには、僕の心拍数は136拍/分より遥かに高くなります。また、心拍数が170拍/分以上になるようなマラソンレース中でも、僕はかなりの情報処理を行なっており、脳が繊細で活発に働いていることを感じています。レースペースの判断や体調の把握などの思考・判断力だけでなく、過ぎ去った5km毎のラップタイムなど、時計を確認するまでもなく、ほぼ正確に記憶しています。

逆に言えば、マラソンレース中にいろいろと考えることができないようなペースは、オーバーペースと言えるかもしれません。

ジョギングで認知機能アップ!

運動後に認知機能が活性化され、認識などの柔軟性が飛躍的に向上するのであれば、ジョギングを活用して、意図的に脳の活性を促すことができます。

例えば、大切な試験や会議などの前や、斬新なアイデアやプランを考えたい時は、早朝や昼休みに軽く走ってみてはいかがでしょうか。先の本では、早朝ジョギングに取り組み、学力が向上したアメリカの高校の例が紹介されていました。

クロカンでバランス能力アップ!

また、単純なジョギングよりも、少し複雑な動きを入れることによって、大脳だけでなく、小脳も鍛えられることがわかっています。

小脳は運動調整などバランス能力を司ります。件の本では、テニスや不規則なリズムのダンスなどの有効性が挙げられていました。我々で言えば、不整地でのジョギングなどがいいかもしれません。

このように、ジョギングは身体だけでなく頭や心も柔軟に鍛えてくれるのですね。ジョギングでライバルに差をつけましょう!

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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