jognote 楽しく走ってステップアップ講座
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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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ランニング中の運動強度を計算してみよう運動強度を推定するときに、よく用いられるのが式③です。
最高心拍数に対する割合なので、計算は簡単なのですが、安静時心拍数の異なる人を比較できません。そこで、安静時心拍数で補正するのが式④です。
安静時心拍数を基準にそれから上昇した分の割合を強度として算出します。
前回例に挙げた2人の心拍数を比較してみましょう。Aさん、Bさんの条件を以下のように設定してみます。
| 安静時の心拍数 | ランニング中の心拍数 | 運動強度(式③) | 運動強度(式④) | |
|---|---|---|---|---|
| ベテランAさん(60歳) | 45拍/分 | 140拍/分 | 87.5% | 82.6% |
| 初心者Bさん(40歳) | 70拍/分 | 160拍/分 | 88.9% | 81.8% |

注目すべきは、運動中の心拍数は初心者Bさんが高いのに、最高心拍数で補正(式③または式④)することで、運動強度に大差がなくなることです。
また、式④のように安静心拍数を考慮にいれると、むしろ運動中の心拍数の低いベテランAさんの方が運動強度が高いということもあるのです。
ただし、これらの計算に用いた最高心拍数は予測値(前コラムの式②)であるため、必ずしも正確な運動強度ではない場合があります。
そもそも最高心拍数の予測は、運動処方の現場で必要となったものです。
最高心拍数を実測するためには、徐々に負荷を上げていくテストなどによってオールアウト(全身の運動能力を完全に使いきった状態)する必要があります。しかし、特別な運動習慣のない中高齢者に対して、オールアウトテストは安全性の面から問題があります。
そこで、安全な範囲で運動を行なわせる目的で、年齢から予測する推定式が工夫されたのです。
最高心拍数は加齢に伴って低下しますが、トレーニングを継続すると、その減少率は弱まります。
つまり、若い人にはトレーニングによる最高心拍数への効果は少なく、高齢になるほど効果が現れて、結果として最高心拍数の個人差が大きくなります。
これは、心機能だけではなく、不活動によって運動の制限因子になっていたその他の能力が改善されることにも要因があります。
例えば、トレーニングによって筋の乳酸耐性が高まれば、より強い強度まで追い込めるようになり、その結果、最高心拍数も高まることになります。
僕などは、式②で予測した最高心拍数は175拍/分に過ぎませんが、アールアウトテストで実測すると、196拍/分程度まで上がります。60歳を越えるベテランランナーが180拍/分以上を記録する例もあります。
先に述べたように、最高心拍数の予測式(式②)はもともと運動していない人を対象に作られたもののため、ランナーには当てはまらないケースがあるのは、ごく自然のことです。
先のAさんBさんの例に戻ると、Aさんは年齢が高いもののベテランランナーであるため、最高心拍数は予測値よりも高い可能性があります。したがって、もし、最高心拍数を実測で評価すれば、結果はさらに異なるかもしれません。
そのため、機会があれば最高心拍数を実測してみるのもよいと思います。個人で求める場合、3km程度のビルドアップ走を行ない、最後2分程度を全力で走れば、最高に達すると思います。
ただし、中高齢の初心者が行なうのは危険です。最初は予測式を使って運動強度を推定し、主観的な感覚などの実態と合わないと感じるようになってはじめて、最高心拍数を実測してみてください。くれぐれも安全には気をつけて行なうようお願いいたします。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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