jognote 楽しく走ってステップアップ講座
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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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高地トレーニングの基礎知識日本のトップランナーの多くが、中国の雲南省・昆明やアメリカのコロラド州・ボルダーなど標高の高い地で長期間の合宿を行なっており、先日も土佐選手がボルダーに向け出発しました。
これは高地トレーニングと呼ばれるマラソントレーニング法です。脚光をあびるようになったのは1960年頃、エチオピアなどの高地民族が世界の長距離走において卓越した力を発揮し始めたことが発端です。

高地トレーニングは理論的にはマラソンに有効であるにもかかわらず、必ずしもそのすべての試みが成功しているとはいえないのが実情です。その理由は高地トレーニングの以下の特徴にあると考えられます。
第一に高地トレーニングを行なう高度条件です。高地順化という観点では、3000mかそれ以上の標高が最も効果的です。しかしながらトレーニングの立場からすると、あまり高いと疲労が強く、必要な練習量や強度が保てないという問題が生じます。
このように相反する問題の解決策として、滞在条件を工夫したトレーニング法が提案されています。1週間程度の高地滞在と平地滞在を交互に反復する「高地-平地反復法」や、高地で生活しトレーニングは平地で行なうという「高地滞在-平地トレーニング法」などがその代表です。これらの方法は、トレーニング強度の低下を防ぎ、かつ低酸素下での受動的効果を生かす方法として注目されています。
一方、トレーニング強度と高地順化の効用の妥協案として、標高1000~1600m程度の準高地を生活及びトレーニングの拠点とする方法もあります。ボルダー(標高1650m)などはこれに相当し、高地トレーニングのメッカとなりました。
第二に高地トレーニングの効果は永久ではないことです。高地で獲得した効果は平地に戻れば徐々に減退し、2~3週間でほぼ消失します。
したがって、レースの直前まで高地にいるのが望ましいのですが、海外などで高地トレーニングを行なう場合、移動や時差の問題を考慮する必要があります。
第三に高地で起こりやすい食欲減退や消化吸収障害などの栄養問題があります。極端な高地では、タンパク分解による筋の萎縮も報告されています。
その他に生活環境、衛生、トレーニング環境、ホームシックなど低酸素以外の条件も長期間になるほど、マイナス要因として働くこともあり得えます。
われわれ市民ランナーの場合、長期間の合宿は、休暇、費用などの点で難しいのが現実でしょう。近年、3日間程度の短期間の高地トレーニングでも効果の上がることが報告されています。国内にも菅平(長野)、蔵王(山形)、乗鞍(長野・岐阜)などマラソントレーニングの可能な(準)高地があります。
上記特性や問題点を理解した上で、週末に高地トレーニングを行なってみるのも楽しいのではないでしょうか。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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