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著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

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1時間走れればフルマラソンは完走できる

第1章 マラソンなんでもQ&A

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第4章 自然なランニングフォーム マラソンはピッチ走法がいい

第5章 不安解消!3日前からゴールまでのフルマラソン完走アドバイス

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長距離走でもスピードが鍛えられる ~リディアード方式1長距離走でもスピードが鍛えられる ~リディアード方式1

さる2008年3月28~30日、群馬大学にて第20回ランニング学会大会が開催されました。今回のトピックとなったピーター・スネル博士の特別講演について2回に分けてご紹介します。

ピーター・スネル博士

ジョギング

ニュージーランド生まれのピーター・スネル氏は、故アーサー・リディアード氏の指導を受けてから中距離界で一気に頭角を現し、ローマオリンピック800m、東京オリンピック800m、1500mで優勝しました。

スネル氏などの成功によって、1960年代以降、リディアード氏の提唱したトレーニング法は、世界の中長距離界を席巻しました。競技引退後、スネル氏は運動生理学で博士号を取り、ご自身が実践してきたトレーニングを科学的に検証し、リディアード方式の普及に貢献しています。

リディアード方式

リディアード方式を簡単に言い表すと、レースから逆算して、トレーニングの期分けとその目的を明確にすることです。

すなわち、①基礎トレーニング(マラソン・コンディショニング)、②移行期(ヒル・トレーニング)、③トラック・トレーニング(③-1無酸素能力とスピードの養成、③-2コーディネーション、③-3最終調整)、という大まかに3段階、細かく5段階に期分けした考え方です。

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基礎トレーニング:マラソン・コンディショニング

中長距離ランナーに共通する基礎的体力を有酸素能力(持久力)と捉え、長い期間(およそ10週間)かけて、この養成に努めます。

スネル氏のような中距離ランナーでも、最初の2~3ヶ月はまるでマラソンランナーのような走り込みを行なうので、このトレーニングをマラソン・コンディショニングと呼んでいます。

ただし、毎日同じようなペースで走るのではなく、距離もペースもメリハリをつけ、週に1度は32km走などの長距離走を行ない、トータルで毎週160km程度のトレーニング量になったそうです。

一般化するために、具体例として、下記のような時間配分とペースを提唱しています。

曜日時間配分負荷※
月曜日1時間80%
火曜日1時間30分60%
水曜日1時間80%
木曜日1時間30分~2時間60%
金曜日1時間80%
土曜日2時間~3時間60%
日曜日1時間~1時間30分60%

※ペースは、ランニング中の心拍数などを目安にするとよいでしょう。59回コラムの換算式を参考にしてみてください。

あくまでも、これはアスリートを対象としたものですから、市民ランナーの場合、ご自身の能力やライフスタイルに合わせて、参考にするべきでしょう。

「マラソン・コンディショニング」の科学的背景

中距離ランナーがゆっくり走る意味について、スネル氏は運動生理学的研究成果から検証しています。

すなわち、長距離走をすることによって、持久筋(遅筋線維:赤筋と呼ぶこともある)のグリコーゲンが減少します。すると、それを補うために本来は強い運動に使われる速筋(速筋線維:白筋と呼ぶこともある)が動員されることになります。このため、長距離走でも、強い運動(スピード)に必要な筋が鍛えられることになります。

ただし、脂質が主としたエネルギー源となるようなゆっくり過ぎる速度(60%以下)、持久筋のグリコーゲン枯渇が起こらない短時間(60分以下)のランニングではこのような現象は起こりにくいので、グリコーゲンの使われるようなペースで、ある程度の長時間走ることが重要です。

面白いのは、これらの研究成果は、スネル氏などの活躍のずっと後に発表されたことです。選手が体感的に正しいと考えた取り組みが先にあり、科学は、いつもその検証という形で後追いしているに過ぎないのです。

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