jognote 楽しく走ってステップアップ講座
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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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つくばマラソン僕の一年の締めくくり「つくばマラソン」大会が、さる11月25日に絶好のコンディションの中、行なわれました。
筑波大学の体育授業「つくばマラソン」を履修し4月から走り始めた学生に加え、5月末から始動したアミノバリューランニングクラブのメンバーなど、総勢150名程の関係者と共に僕も東京以来のフルマラソンを楽しみました。
コースは、昨年から折り返しコースに変更され、より平坦で走りやすくなったものの、大半が住宅街から離れた牧歌的な風景が続きます。
折り返しコースの利点は、教え子の状況を確認できることです。すれ違う関係者を探しては、手を振り、声をかけ、あるいはハイタッチと大忙しです。
レースがますます楽しく、勇気をもらえてよい反面、ついついペースが上がってしまいます。案の定、20~25kmで前の区間より50秒も上がってしまいました。
感覚的にも「少しきついなあ」という感じで、これ以上ペースをあげない我慢と、いよいよ始まる苦しさへの我慢を同時に体験することになりました。
30kmを過ぎると、前半オーバーペースだった人が続々と脱落してきます。その中には、陸上部の学生など、高い走力のある人も混じっています。
悔しがる彼らを尻目に、マラソンが「コントロールのスポーツ」であることを改めて実感します。35km、僕自身も相当きつくなってきました。
スタート前、最後の10kmは「人生をかけて走れ」と学生に発破をかけたものの、自分のこととなるとなんだか怪しくなります。最後まで持つかな?やばいかな?と自問しながらも、頑張り続けるしかない区間です。
何度フルを走っても、ここでの1km、1kmは長く感じます。36km、クラブの仲間の応援団。37km、応援ボードを抱えた我が家の子どもたちをみつけ、最後のチャージ。
そして大学構内道路に戻った40km過ぎ、ついにペースを維持できなくなりました。動かない脚を引きずりながら何とかゴール。
最後の2.195kmは10分30秒も要してしまい、目標の2時間45分には遠く及びませんでした(ネットで2時間50分17秒)。しかし、直前の体調を考えれば上出来です。

ゴール後は関係者の出迎えです。歩かず完走を果たした感動で人目をはばからず泣く人。一方、力の半分も出せずに一人悔し涙を流す人。
初マラソンだった人だけでなく、2度目、3度目の挑戦者にも、同じか、それ以上の喜びや悔しさを喚起する。まさにマラソンの醍醐味です。
大の大人が涙あり、笑顔ありのゴールを果たし、疲れた身体でロボットのように歩み寄り、互いの健闘を称えあう長く素敵な1日が過ぎてゆきました。
つくばマラソンは、学生にとっては、レースだけでなく授業の「ゴール」でもあります。その思い出と経験を胸に卒業していく者も多く、社会人となってからも挑戦し続けるOB/OGがかなりいます。毎年、遠方から来る何名かが我が家に前泊し、ささやかなカーボパーティーをしながら近況報告とともにマラソン談義に花を咲かせます。
僕にとっては、全員のゴールを見届ければ、今年も無事終わった、とちょっぴり安堵するイベントであり、同窓会のような懐かしい者との再会の場でもあるのです。学生時代にサブ3で走った面影もない者がいるかと思えば、こつこつと走り続け、見違えるようなランナーになった者もいます。
僕にとってつくばマラソンは、ここから巣立つランナー(学生)を見送り、帰ってきたランナー(卒業生)を迎える大会です。いわば、僕が指導に携わったランナー達と(まるで家族のように)交流できる家のような存在であり、同時に僕自身を育ててくれる大会であるような気がします。
つくばマラソンは、僕の原点であり、授業の聖地とも言える大会なのです。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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