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著者紹介

鍋倉賢治

鍋倉賢治

1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。

現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。

モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。

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1時間走れればフルマラソンは完走できる

第1章 マラソンなんでもQ&A

第2章 毎日走らなくてもいい!マラソン練習これならできる継続のコツ

第3章 歩かないでフルマラソン完走!6ヵ月プラン

第4章 自然なランニングフォーム マラソンはピッチ走法がいい

第5章 不安解消!3日前からゴールまでのフルマラソン完走アドバイス

第6章 身も心もリフレッシュ!からだをストレッチング&ケア


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Q&A ランナーを待ち受ける「35kmの壁」とは?Q&A ランナーを待ち受ける「35kmの壁」とは?

早朝ランの前には食べたほうが良いの?

question

フルマラソン3時間半を目標に通勤ランをしています。時間がないために起床後すぐに10~15kmの道のりで走ります。少し体重を落としたいのですが、水分だけ摂って走るか、それとも軽く食べた方がよいのでしょうか。

answer

低血糖状態では頑張りがききませんので、一般的には早朝空腹時の運動は推奨されません。しかし実際には、多くのランナーが早朝練習に取り組んでいます。

早朝の空腹時は、低血糖な状態なので、必然的に脂肪がエネルギー源となりやすい体内環境になっています。ですから早朝練習は、無駄な脂肪を減量するのに適していると言えます。

また、マラソン後半にエネルギー切れを起さないためには、できる限り脂肪を活用し、グリコーゲンの節約に努めることが重要です。その状態を模擬したトレーニングという観点でも、早朝練習は優れているといえます。

このあたりが、多くのランナーが早朝練習の効果を口にするゆえんです。

質問者のトレーニング環境は、減量のためにもマラソンを走るためにも理想的と言えます。脂質代謝を有効に使えるマラソン向きの身体に改善されていくことでしょう。

10~15kmという距離も理想的です。これ以上長いと、補食なしでは苦しいだろうし、短くてはトレーニング負荷として低くなるからです。

ただし、低血糖のリスクを認識し、補給食を持って走り出してください。もし朝起きて、空腹を感じていたらエネルギーゼリーのような補給食を少し食べて、それでも元気が出ないようなら、休む勇気も大切です。

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どうやったら35kmの壁を乗り越えられますか?

question

初心者で、フルを一度完走したばかりです。35kmでガクッときて、足は動かないわ、息は苦しいわ、を味わいました。35kmの壁を乗り越える体を作るのは、どうすれば良いのでしょうか?

question

35kmあたりから足首が固まったような感じで、地面をキックすることができないような感覚になり、ふくらはぎには激痛が伴います。脚が疲労して、走るのがやっとという感じで、レース後はいつも杖なしでは歩行不可能になります。35kmの壁はどうやったら乗り越えられますか?

answer

「35kmの壁」。おそらく、フルを走ったすべてのランナーが共有する体験であり、初心者とベテランの区別のない共通の課題です。

フルを走りきる過程で、われわれは身体能力を限界近くまで発揮することが要求されます。

例えば、①エネルギー切れ:
体重60kgの人がフルを走りきるのに必要なエネルギー量は約2500kcal。これは体内に蓄えているグリコーゲンの総量に匹敵します。

②脱水:
フルマラソンを走ると、冬のレースでも、2~3kgの減量はざらにあります。体重の5%を超える脱水は、身体機能だけでなく、精神機能の低下をきたすと言われています。

そして、③信じられないような筋肉痛と関節痛:
主動筋である脚筋はもちろん、体幹、首周り、すべてが筋肉痛になった経験のある人も多いはずです。

さて、直接答えになっていない回答をしてみたいと思います。

ウルトラマラソンは、フル(42.195km)を越え50km、100km(中には250km以上も!)と走り続けるレースです。それでは、ウルトラ経験者には、フルマラソンの「35kmの壁」はないのでしょうか?

経験者に話を伺うと、やはりフルでは「35km(付近)の壁」があるようです。「42km!長い!」と身構えてレースに臨むことはないようですが、やっぱりきつい、とのこと。

一方、まれに「35kmの壁」を感じることなく、走りきってしまう人(特に初心者)がいます。この違いは何でしょうか?

答えは「速度(ペース)」です。

ジョギング

トレーニングを継続し、オーバーディスタンスの練習をやっても、何度レースに出場しても、そしてより速く走れるようになったとしても、その時点でのベストパフォーマンスを求める限り、その実力に応じた「35kmの壁」が出現します。フルマラソンという距離は、力を余すことなく走りきると、少々身体が壊れてしまうような、そんな絶妙な距離なのです。

20km過ぎに「壁」が出現したなら、単にトレーニング不足です。しかし、「35kmの壁」を経験したあなたは、マラソンの真髄に近づいた結果であり、胸を張っていいのです。

(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)

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